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(コラム記事)方向の転換 2012/09/21

アフォンソ・セルソ・パストーレ

過去1年にわたる実質金利の低下を受けて、商業部門は、実質販売を拡大して力強い成長を維持している。利下げは、年明けに政府が示した予想とは裏腹に、総固定資本形成(GFCF)の落ち込みを反転させるどころか、輸出の減速に伴う落ち込みの補填すらできていない。その結果、ブラジルの成長率は悲しむべき水準にある。政府は、経済政策の修正で対応した。

最初の変化は、為替だった。ブラジルは、純粋に変動為替制度を導入してきたことなど、かつてなかった。資本の流入量が大きくあるいは小さくなるよう規制しながら、スポット市場と先物市場で大規模な介入を行い、政府は常に、為替相場の方向性に操作してきた。ところが我々は、過去数か月、高度に管理された変動為替制度とは大きく異なったものを目にしてきた。要するに、ドルの高値を1ドル=2.00レアル、そして最安値を1ドル2.10レアルとする為替バンド制は、実のところ、固定為替制度なのだ。

そして工業部門に対するインセンティブ。この部分の変化の狙いは、生産を後押しすることにある。業界は、2008年の不況から目を見張るような回復を遂げた後、2010年の年明けから2011年の中盤ごろには停滞し始め、それ以降は落ち込み続けている。この現象の原因は、単位労働コストの上昇と、上昇したコストを製品価格に転嫁できないことによる、工業部門のマージン縮小が原因だ。前者は、完全雇用という経済状況に誘発された給与の実質賃上げが原因で、後者は、輸入品との競争が原因である。金融刺激策と減税策、信用拡大策に至る種々の対策を施すことで、完全雇用を維持して景気を支えようとしている。そのため、単位労働コストが下落する見込みはない。政府の見解に基づくと、工業部門が利益を再び確保するのは、為替相場が更に若干安値に移行することで、その場合、部分的にだが達成されるだろう。

第2の変化は、財政政策の利用に関するものだ。政府は、高い水準のプライマリーバランス黒字を達成すると主張してきたし、それにより利下げを加速させる余地を生み出したのだが、期待外れの結果を受けて財政政策の修正に向かっている。消費財に対する種々の減税策を導入することで、自動車と家電、家具の販売拡大を目指し、生産を刺激するための減税も実施してきた。だが、ブラジルが需要の低迷という問題に直面してはいないのだから、政府は、消費財の販売刺激策にもっと慎重に取り組むべきで、むしろ生産にインセンティブを与えるための減税を中心に据えるべきだった。この方向性で1つ重要なステップは、電力価格に対する税負担の低減だった。この流れの中で政府が踏み出したもう1つのステップは、やや弱腰のものではあるが、特定の業界を対象にした給与税の減税である。

一方、やや気になる動きと言えるのが、プライマリーバランス黒字の目標の引き下げ。GDPに対する負債比率の低下という流れを中断せずに、プライマリーバランス黒字を引き下げる余地があることは否定できない。結局、経済危機が均衡実質金利の落ち込みを加速させるが、それはある程度長期にわたって続くことになる。経済成長の結果がどうなるかは、まさに政府がリソースをどのように費やすかにかかっている。

もしブラジルがリセッションに足を踏み入れ、労働市場も完全雇用に至らないという状態ならば、何らかの支出拡大や減税による措置は、直接的に目に見える同一の結果をもたらす。つまり、需要が拡大してリセッションから脱出、失業率が低下するということだ。しかし今、ブラジルは完全雇用に近いか、既にそれ以上の状態にある。実質販売の成長も著しく需要不足という問題を抱えていないことを示す。むしろ工業部門の競争力が問題で、これにより供給が制限されている。問題を解決しようと生産に対する減税を実施することでコストを下げ、本来はインフラ投資の帰結であるべきものに、表面的に取りつくったにすぎない。

続いて、為替のレアル安だ。これまで述べたような問題を、為替のレアル安で乗り越えることができると主張する人がいる。ところが、この「解決策」は、インフレを更に加速させ、利上げへの要求圧力が強まる。恐らく、それが理由で中銀は、1ドル=2.00レアルを下回るようなレアル高に限って介入するのではなく、2.10レアルに近づく状況にさらされた場合にも介入するのだ。固定為替制度に固守することは通貨政策が伝播していくチャネルを1つ潰すことになるが、インフレを減速させるという点では、頭痛の種が少なくなる。サービス部門によるコスト上昇圧力は依然として強く、完全雇用のためにその状況が当面続くことを示している。インフレのリスクが政策上の足かせになるのは、為替のレアル安誘導だけに限らず、このほど発表された保護貿易措置に対しても同様である。

これらの変更は、通貨政策に対して干渉するだろうか? 現在のブラジルは、Selicの利下げサイクルの最終段階にある。この時点で考慮すべきは、中銀が更に0.25ベーシスポイントの利下げを実施するか否かではなく、むしろ、いったいどの程度の期間、この新たな水準の金利を維持するのかだ。どうやら通貨当局のフライトプランは、この金利水準を相当の長期にわたって維持すると思われる。2012年から2013年末までをカバーして、経済成長の後押しを続ける模様だ。

多数の通貨刺激策が導入される見込みで、恐らく追加の税制優遇政策が新たに加えられるだろう。しかしより広範囲な減税政策は、その性質上、均衡実質金利を引き上げる。つまり、インフレ圧力を若干高めるということだ。このことは現政権がインフレへの許容度の大きいとを示すのだろうが、税負担を引き下げ、物価下落を目的に電気料金に実施したのと同様の減税を集中的に実施しており、インフレの上昇は限界的だ。

もし減税により消費を刺激しつつ、政府の支出拡大が移転支出と経常支出に集中するなら、インフレは加速するだけで、生産性の向上や生産拡大を後押しするという効果をもたらさない。一方、生産を刺激するために減税を導入し、政府の支出がインフラへの投資に振り向けられれば、生産効率の向上と潜在GDPの拡大という恩恵が得られるだろう。

どんな支出の拡大でも良いということはないし、GDPに対する負債の比率を引き下げていくという制約を受けるならなおさらだ。現段階のブラジル経済にとって適切な財政政策とは、生産を刺激するものであって、何よりも、インフラへの投資拡大に注力するものであるべきだ。

(2012年9月16日付エスタード紙)



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