昨日の通貨レアルの対ドルは、世界経済の先行き不透明感の上昇に伴って、2009年7月以来のR$1.95を突破してR$1.962に達し、今後のインフレ圧力の上昇や国内経済への影響が心配されている。
ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、4月のインフレ指数である広範囲消費者物価指数(IPCA)は、0.64%と3月の0.21%を大幅に上回り、また連邦政府の経済班の予想を上回った。
ジウマ・ロウセフ大統領は、今年の国内総生産(GDP)の伸び率4.5%の達成をターゲットにしているにも関わらず、現在の製造部門のGDP伸び率が予想を大幅に下回っているために、今年のGDP伸び率は3.0%前後に留まると予想されているが、ドル高の為替が継続すれば完成品の輸出増加につながる。
過去30日間の通貨レアルに対するドルは8.0%と急上昇していたために、中銀は、急激なドル高の為替を阻止するために、大幅な為替介入を実施している。
元中銀総裁のアフォンソ・セルソ・パストーレ教授は、「今年のIPCAを5.2%と予想しているが、これ以上の通貨レアルの為替下落が継続すれば、インフレは更に上昇する」とコメントしている。
予想を上回るIPCA指数以外にも、4月のインフレ指数の一つである卸売物価指数(IPA)のうちの工業製品価格は、1.32%と3月の0.31%を大幅に上回っており、また原材料価格は、1.05%と3月の0.64%から大幅に上昇している。
ヴォトランチン保険のチーフエコノミストのロベルト・パドバーニ氏は、「2月末までレアル高の為替が一段と進んでいたが、ヨーロッパの財務危機並びにブラジル国内の景気減速などの影響で世界的なドル高傾向に転じてブラジルでも急激なドル高基調になっているにも関わらず、製造部門のpass throughと呼ばれるコスト転嫁は発生しない」と予想している。
MB Associadosのチーフエコノミストのセルジオ・ヴァーレ氏は、「現在の経済停滞のシナリオでは、ドル高による僅かなコスト転嫁は発生する可能性はあるものの、インフレ圧力を高めるほどのコスト転嫁はない」と見ており、今年のIPCA指数を5.5%と予想している。
中銀は、4月に外貨準備高の補強につながる72億2,000万ドルのドル買いの為替介入を実施したために、2011年3月以来の為替介入残高を記録、また4月はドル高の為替の影響で、輸出業者を中心に65億8,000万ドルの外貨流入が急増していた。(2012年5月10日付けエスタード紙)