大統領、銀行の顧客に与信の「より良い条件」を求めるよう指導。銀行の高金利は「許しがたい」と繰り返す。
タニア・モンテイロ(ブラジリア)
政府は銀行が取り立てる高金利に対する争いで声を高めている。ジルマ・ルセフ大統領は昨夜ラジオ・テレビの全国放送の政見表明を利用し、銀行の顧客は融資の「より良い条件」を求めるようにと指導した。
大統領府のブラジル融資システムに対する新たな攻撃の中で、ジルマ大統領はブラジルにおける借金のコストを「許しがたいもの」と位置づけ、すでに2回以上金利下げを行っている公営銀行の「良い例」を民間金融機関は見習うように、と勧告した。
「他と比べて堅固で利益の多い金融システムのひとつを持つブラジルが、世界で最も高い金利を維持するというのは許しがたいことです」と、5月1日を祝う労働者に対する政見表明の中でジルマ大統領はぶちまけた。
ジルマ大統領が明確にしたのは、政府の圧力の後に大手民間銀行が融資コストを下げたとはいえ、顧客が過去の債務について再交渉するために赴いた際、金融機関が持ち出してくる数々の制約をなくした上に、さらに真の金利下げを行う余地があるということだ。
「連 邦貯蓄金庫(Caixa Econômica Federal )とブラジル銀行(Banco do Brasil)は、模範となり健全な市場競争へと導く道を選択した。これによって、借金・カード・特別小切手さらには給与引き落としクレジットのある顧客 の金利を下げることが可能だと証明された」と、ジルマ大統領は述べた。
ブラジル銀行連盟(Febraban)からはコメントがなかった。
<手の内を隠さない闘い>
大統領の攻撃は、大統領府が民間銀行にしかけた闘いの中のさらなる一章である。銀行が資金を得るために払う金利と、借金をする顧客が取り立てられる金利との差、いわゆる銀行スプレッドの差が大きいことが「許しがたい」と、政府は考えるのだ。
大統領府を困らせてきたもうひとつの要因は、中央銀行が昨年8月に一連の基本金利下げ(現在は年8%)を開始したのだが、銀行融資コストがこの動きに連動してこなかった、少なくとも期待されたスピードと規模で連動してこなかったことである。
「政策誘導金利(Selic)が下がり、経済が引き続き安定し、圧倒的多数のブラジル人が自らの約束事を迅速に誠実に守っているのに、銀行が企業と消 費者から今と同じ金利を取り続けてはいけません」と、ジルマ大統領。「金融業界は国民に対するこの極悪非道の論理を説明する術を持ちません。基本金 利は下がり、インフレは長らく安定していますが、特別小切手・分割払い・クレジットカードの金利は下がりません」。
<告発>
カルロス・カショエイラの議員調査委員会(CPI)がまだ始まっていないのに、毎日数々の告発が表沙汰なってきていることを政府が懸念していることを示す ため、ジルマ大統領は汚職撲滅に向けて闘うことを敢えて強調した。「ブラジルの女性労働者のみなさん、男性労働者のみなさんに保証します。私たちは引き続 き、税金を下げる方法、不正と不正を行う者を撲滅する方法を模索、そして、その都度正しい物事と誠実な国民を奨励していきます」。
ジルマ大統領は、「均整の取れた減税」を可能にするメカニズムを見つけることが必要であると認め、給与にかかる事業主負担金の終焉に言及した。しかしなが ら、免税措置が部分的で、産業の15部門だけに恩恵を施していることについては説明しなかった。また、為替についても語った。「わが国の産業と農業を守れ る為替レートを手にすることが重要です。つまりは、雇用の確保です」。 (2012年5月1日付エスタード紙)
舞台裏>点滴石を穿つ
ヴェラ・ローザ
徐々にではあるが、ジルマ大統領は技術者的装いを捨て、政見表明は政治的トーンを帯びてきている。任期2年目は以前より自在になり、支持率の高さを追い風に、経済成長を妨げる民間銀行の高金利に反対するキャンペーンを行う。
この闘い、すなわち一種の銀行の「掃除」には、社会全体の支持があることを大統領は知っている。「労働の日」を利用してメッセージを伝える、これ以上の良策はない。
マーケティングのプロ、ジョアン・サンターナが準備した演説は、高金利を攻撃するため、「inadmissível(許しがたい)」のような、強烈な形容 詞を使用した。それだけでなく、ジルマ大統領は何度も動詞「cuidar(考慮する、面倒を見るなどの意味)」に頼ったが、それは数字だけを心配している のではないことを示す方法だ。いつものように、彼女は何度も草稿を直し、文章の場所を入れ替えたが、内容にはお墨付きを与えた。
あらゆる調査でブラジル経済成長に対する悪害として裏付けされた、「高金利・為替・インフレ」は、何度も演説に登場し続けた。どんな政策でも短期の政策には期待しないと言いながらも、「点滴石を穿つ」の最大の信奉者で、誰にもそれを隠さない。
米国においてでさえ、ジルマ大統領はこの話題を取り上げた。4月9日、ホワイトハウスにおけるバラック・オバマ米大統領との会談後、ブラジルの高金利取り立てに妥当な理由などない、と言い放った。演説は皆から、特に小額預金者たちから理解を得られることとなった。
選挙イヤーの今年、政治色の強くなったジルマ大統領はスズメバチの巣をつつくことを公約した。(2012年5月1日付エスタード紙)