国際エネルギー機関(IEA)がこのほど、半期ごとに改訂している今後数年の石油市場の見通しを発表した(中期石油市場見通し2013)。国際需要は今後も拡大を続け、2018年には2012年比7.7%増の9,670万バレル/日に達する見通し。石油の国際消費の中心は、2つの理由から、次第に新興国に移行しつつある。先進国では、米国車や欧州車のケースのように、環境保全対策とより良い設備を導入している効果を受けて消費が減少傾向にあることが1つ。これと同時に、欧州のケースのように、先進諸国の成長が極めて限定的なものになっていることが、もう1つだ。
こうした流れと並行して新興国は、国際市場に占める比率を拡大させている。今年、既にこの現象に関して2つの指数が示されている。まず2月に、中国が史上初めて石油輸入量で米国を上回ったこと、そしてIEAが2013年第2四半期において途上国と新興国を合わせた需要が先進国の需要を上回ると予想していることだ。しかもこの見通しには、中国の経済成長がある程度落ち込むことと、アフリカ諸国の需要が急速に拡大することが織り込み済みだ。
とは言え、最大の変化は供給の側にある。同一の地層における「シェールガス(頁岩ガス)」と軽質原油を生産する新技術が米国における石油生産を強力に後押ししており、恐らく、石油輸出国機構(OPEC)以外にもこの動きが波及することになるだろう。実際、OPEC以外での石油生産の伸びは600万バレル/日以上と予想されており、拡大する需要をすべてカバーすることになる。
その帰結として、IEAは、OPECの生産能力に700万バレル/日規模で余剰が生じると予想している。IEAは、OPEC以外の石油・ガス生産の拡大だけでなく、途上国と振興国の大きな成長に伴い、生産地により近い場所から製油所と備蓄所、輸出ターミナルが移転するという、生産チェーンの大きな変化に対しても俯瞰的に言及し、注目を集めた。
最終的に、今回の報告書はこの他に2点について分析している。「シェールガス」のために開発された革新的な技術の導入が他の国々で進むことに加えて在来型の石油の採油技術が改善されることで、供給の拡大が後押しされることがその1つ。例えば、メキシコは今後生産を大きく拡大させる有力候補だ。かつては地質学的な広がりや状況が知られていなかったが、現在では、米国南部の石油開発地帯は隣国にまで広がっていることが知られている。メキシコで法改正と国内の石油分野における外資の規制削減に新大統領が熱心なのは、それが理由だ。
2番目の分析は、新しいシェールオイル(タイトオイル―TO)に関するもので、この石油資源は極めて軽質で利用価値が高く、ベネズエラのような重質原油に対する需要を縮小させる影響を持つものである。国際貿易においても、原油取引のコストが低下しているのに対してガソリンと他の燃料など石油派生品の取引が拡大していることを反映し、新しく建設される製油所の立地が従来とは異なる地域に移転するという変化をもたらしている。
技術の変化も含めて環境問題が完全に克服されるかに関しては依然として懸念があるが、今後の情勢は、石油の世界に大きな影響を与えることになるだろう。
米国が石油の自給自足に向かって進んでいることから、OPECは現在の戦略的重要性を失うことになる。さらにこのOPEC加盟国からは、重質原油を生産するベネズエラが脱落する。ロシアの天然ガス輸出は、米国と中東で生産されたガスと競合することになるが、これこそ、ガスプロムが欧州の顧客を相手にディスカウントと契約の修正を進めている理由だ。最終的に、こうした力学の結果として石油相場が下落する傾向にある。ただし、中東における紛争が次第に過激化し深刻化していることは、相場のさらなる値下がりに対する歯止めになっている。
ブラジルは、当然ながらこの新しい状況の影響を受けるだろう。何よりもまず、最も重要と受け止められる部分は、岩塩層下の石油開発において従来の利権認可方式から事業参加方式に石油開発制度を切り替えることによる巨大なコストである。その理由は、実現不可能な要求をペトロブラスにつきつけ、国内の石油資源の開発を遅らせ、ペトロブラスが多額の投資を進めたにもかかわらず、この4年は石油生産を停滞させたのだ。
政府がペトロブラスに対して求めた、リスクの高い未知のエリアでの生産を大規模かつ急速に拡大するという事業モデルについて、ここで改めて述べることは意味があると思う。政府はそれだけでなく、先端技術を使用することに加え、新たな油田で操業する中核企業になることを要求した。いずれに対しても相応のコストとなったが、政府はその上に、65%の比率で国内サプライヤーを利用することを要求した。
それだけでは不十分と言わんばかりに、石油派生品の価格はポピュリズム的色彩を帯びて数年にわたり凍結され、ペトロブラスのキャッシュ・フローは悪化した。当時から、実現不可能なミッションだということは明確だったが、ペトロブラスが資産価値を大きく損なったことでそれを証明した。さらに悪いことに、国際エネルギー機関が示した新たな情勢は、もしそれが現実のものになるなら、石油相場は下落し、投資に対する利益率を縮小させることを示唆する。我々が保有する現在の富は、確実に、5年前よりも縮小している。
ブラジルにおける石油情勢の中でポジティブな部分は、穏やかにではあるが、策略的な政策モデルで現実離れした部分が緩和されていることだ。先々週、これまで多くの批判がなされてきた利権認可モデルで実施された新たな石油開発鉱区の利権入札が、大成功を収めた。それと同時に、ペトロブラスの新総裁は、従来の経営に見られた大衆迎合主義を一切排し、完全に自由な立場で技術的見地から応札した。ペトロブラスの四半期損益計算書は、事業効率の改善が見られた外、その他の変数に関しても大きく好転した。前進するには依然として種々の課題があるが、今後数年は手堅く改善するだろう。(2013年5月26日付けエスタード紙)
ジョゼー・ロベルト・メンドンサ・デ・バーロス。エコノミスト、MBアソシアードスの経営パートナー