ジウマ・ロウセフ政権は9月に国内の自動車メーカー雇用支援策として、部品の現地調達率が65%を下回る自動車に対して更に30%と大幅な工業製品税(IPI)増税を実施すると発表,政府は9月16日に増税を開始していたが、最高裁(STF)は増税実施には90日の期間が必要だと決定した。
最高裁の判事の満場一致のこの決定でIPIの30%引上げされた輸入自動車を購入した人は裁判所に訴えれば、余分に支払った差額を返済してもらえる。
ブラジル消費者保護協会(Proteste)のマリア・イネス・ドルシ会長は「まだ官報に掲示されていないために詳細ははっきりしないが、すでにIPI増税済みの輸入車を購買した人は証明書や書類を揃えて、準備しておくことが重要」とコメントしている。
また27社が加盟しているブラジル自動車輸入業者協会(Abeiva)のジョゼ・ルイス・ガンジーニ会長は「90日間の増税実施の先送りは在庫調整や今後の輸入計画には時間的余裕ができる」と歓迎している。
高級車ポルシェ社は真っ先に19%の値上げを発表していた。ガンジーニ会長はキア・モーターズが14.3%、アウディでは2012年型を10%、ワーゲン社のTiguan車は8.5%、フォードのEdge車は5%とすでに値上げを発表していたと述べている。
メーカー側は当初、増税はブラジルへの投資意欲を失わせかねないと警告していたが、ルノーや中国の江淮汽車を含む一部自動車メーカーは増税後も、ブラジルでの新工場建設計画を継続していた。
昨年に7.5%の経済成長率を記録したブラジルでは、中間層がここ10年で25%拡 大。多くの途上国で経済が停滞するなか、自動車メーカーが成長を見込む重要市場となっている。
国産化比率が65%に達しない輸入自動車に対して工業製品税(IPI)の30%の大幅引き下げ措置を発表、輸入車が急増してマーケットシェアを奪っている中国や韓国の自動車メーカーからの輸入制限措置による保護貿易政策と見られていた。
自動車輸出国から今回の措置に対して一斉にクレームが発生、世界最大の自動車輸出国の日本政府はブラジルの輸入車に対する工業製品税(IPI)の大幅な引上げ措置に対して、世界貿易機関(WTO)への提訴を計画していた。
ブラジル紙バロール・エコノミコ紙によると、日本政府がWTOの市場アクセス委員会に申し立てることを決めた初めての国となるが、韓国も追従、また米国、ヨーロッパ並びにオーストラリアもIPI税引上げに対して反対している。
フェルナンド・ピメンテル商工開発相はブラジル国内での自動車生産プロジェクトを提示している自動車メーカーに対して、連邦政府はIPI引上げ措置について柔軟に対応すると説明した。
ピメンテル商工開発相は南アフリカのプレトリアを訪問したジウマ・ロウセフ大統領に同行した財務省並びに商工開発省の担当者が、進出メーカーに対する修正措置を制作中であると説明していた。
中国資本JACモーターズ並びにドイツ資本BMWはピメンテル商工開発相と会合を持って、それぞれの投資計画を説明、IPI引上げ措置の適用中止を要請した。
連邦政府が柔軟な姿勢を示している要因として自動車輸出国からのWTOへの提訴、裁判所によるIPI措置の実施時期の先送り判決、ウルグアイ政府による国産化率50%のウルグアイ製輸入自動車の適用などであった。(2011年10月19日及び21日付けエスタード紙)