8月初めにジウマ・ロウセフ大統領は国内産業保護を前面に打ち出した産業政策「ブラジ ル拡大計画(PBM : Plano Brasil Maior)」を発表、自動車産業に対する税制インセンティブ優遇政策は2016年までと長期間に亘って適用、政府が付加価値向上 による国産自動車の競争力の強化・雇用拡大・イノベーションに資すると認定した投資案件に対して、IPIを最高で30%まで減税すると発表していたが、詳細は先週、発表された。
連邦政府はレアル高の為替で中国や韓国からの輸入自動車が急増して国内メーカーのマーケットシェアが減少しているために、大手メーカーから輸入自動車の急増を阻止する保護貿易政策の導入要請で圧力がかかっていた。
連邦政府はメルコスール域内やブラジルの自動車部品比率を最低65%と決めたために、国産比率が65%に達しない中国製などの輸入大衆車の工業製品税(IPI)は7%から37%に引き上げられ、また欧米の高級輸入車も直撃を受けると予想されている。
ブラジル自動車輸入業者会(Abeiva)では今年8カ月間のブラジル国内に自動車生産工場を擁しない中国製並びに韓国製の輸入自動車は全体の25%に達しており、ブラジル国内に生産工場を擁しているメーカーの自動車輸入は、メルコスールや自動車協定を結んでいるメキシコからであるために、IPI7%が適用される。
中国メーカーJAC社は6億ドルを投資して2014年からブラジル国内での大衆向け自動車生産を発表していたが、今回の輸入自動車に対する37%のIPI課税の適用に対して、当面の投資計画の中止並びに裁判所に訴える準備をしている。
全国自動車工業会(Anfavea)は今年7カ月間のアルゼンチンからの輸入自動車は21万6,000台、アルゼンチンへの輸出は21万9,000台とバランスが取れており、裾野産業の広い自動車工業部門の雇用につながっている。
またメキシコからの輸入自動車は5万2,000台、輸出は3万台と入超になっているが、手の打ちようがないレアル高の為替で雇用創出につながらない中国や韓国からの輸入自動車の急増並びに輸出の減少に対して、国内大手メーカーが連邦政府に圧力をかけていた。
レアル高の為替や企業の収益性を大幅に上回る人件費の上昇で、製造業の国際競争力が低下してきており、繊維や履物工業など一部では生産拠点を海外に移してきているために、産業の空洞化が心配されている。
今回の保護主義的な減税政策に対して中国、韓国、欧米などでは増税の内容を吟味して、自国の工業部門へのダメージが証明されれば、世界貿易機関(WTO)へ提訴すると見込まれている。
大幅なIPI課税の対象となるのは今年8カ月間で3,391台が輸入された韓国資本の現代自動車のI30型、1,893台の中国資本Chery社のQQ型、1,758台の韓国KiaモーターのSoul型、1,554台のCerato型、1,535台の中国JAC社のJ3型など大半が韓国並びに中国製となっている。
また現在の販売価格が2万3,990レアルのChery社のQQ型は3万707レアル、JAC社のJ3型は3万7,900レアルから4万8,512レアル、KiaモーターのSoul型は5万2,900レアルから6万7,712レアル、現代自動車のI30型は5万7,000レアルから7万2,960レアルと大幅な値下げが余儀なくされると予想されている。(2011年9月17日付けエスタード紙)