アナリストらは、モダンで安全、低価格を売りに登場するこの新型車がフォルクスワーゲンのシェア争いに弾みをつけると受け止めている。
フォルクスワーゲン・ド・ブラジル(VW)のトーマス・シュマル社長の言葉を引用するなら、2月第2週にリリースするコンパクトカーのup!は、同社にとり国民的乗用車と呼ばれたフォルクスワーゲン・ビートルに比肩する役割を担うことになる。「マイカーを所有できないに多くのブラジル人にモビリティーを提供したいというのが我々の気持ちだ」と、同社長は言う。up!のセールスポイントは、既存の乗用車と比較して魅力的な価格で、モダン、低燃費、安全、そして、外見は小さくともヨーロッパモデルが4人乗りなのに対して5人乗りが可能なことである。
公定価格は2月5日、リオ・グランデ・ド・スル州グラマード市で催されるup!の公式発表式典で公表される。現時点でシュマル社長は、最初にブラジル市場に投入される4ドア仕様車が「2万9,000レアル未満になる」と公表済み。2ドア仕様車は、アナリストによると年末までに、平均1,500レアル割安でリリースされる予定。
英語で上昇を意味するup!の投入で、VWは、これまで同社が展開してこなかったGolより下位の小型車市場に参入する。価格面では、2013年末で生産を終了した旧型の第4世代Gol(GolG4)を置き換える形を取る。また、第5世代(G5)の最低価格は3万1,000レアルになる予定だ。
最上位モデルを中心に高い技術が投入されたup!は、大衆車と呼ばれるセグメントで、まさにイノベイターと言える存在だ。ラテンNCAPが実施した試験ではコンパクトカーとして最も安全性が高く、度量衡院(Inmetro)によると最も低燃費の車である。
up!は全6モデルでいずれも1.0リッターエンジンを搭載し、2月から販売を開始。販売台数が2012年の76万8,300台から66万6,700台に13.2%落ち込んだVWにとって、up!のリリースは、復活への足掛かりと位置付けられている。2013年の自動車販売台数は前年比1.5%減の357万台で、VWは、4大自動車メーカーの中で販売台数の落ち込みが最も激しかったメーカーだった。
トップシェア
アナリストらは、2001年からフィアットに奪われてきたブラジル市場のトップシェアをVWが奪還するのに、up!が重要な役割を果たすと受け止めている。もっとも、この話題についてシュマル社長は、言及を避けている。同社長によると、「マーケットシェアで空腹を満たすことはできないのであり、重要なのは会社の業績だ」と言う。具体的な数字は発表していないが、同社長によると、VWは2013年に前年同様に黒字を計上した。乗用車と小型商用車のブラジルの販売台数ランキングで、2013年はフィアットが21.3%でトップに立ったが、続くVWとゼネラルモーターズ(GM)がそれぞれ18.6%と18.1%の僅差、さらにフォードが9.3%で続いた。残りのシェアを、その他のブランドが分け合っている。
コンパクトカーのup!は、VWグループ本社で開発され、長年にわたりドイツ本社に勤務してきたブラジル人のマルコ・アントニオ・パヴォーネ氏によりデザインされた。up!は2011年に先ずヨーロッパで発売され、スロベニア工場限定で生産されて世界50か国に輸出されてきた。
ブラジルは、up!を生産する2番目の国となる。さらに同社にとっては、世界中の工場で生産される様々な車種のベースとなる、グローバル・プラットホームにより生産される最初の車になる。シュマル社長曰く、「ブラジル国内外で使用される技術差がこれで無くなった。up!は、より先進的な市場で採用されているのと同じ技術が投入される」。同社長によると今後のVWのリリースはいずれも、フォードなど他のブラジル子会社同様に、このグローバル・プラットホーム戦略を採用する。Golfは、次のグローバル・プラットホーム戦略車となり、2015年にパラナ州の工場で生産に移行する予定だ。最終的にはGolも、次世代に移行する2015年には、ブラジル国内市場限定モデルから脱皮する予定だ。グローバリゼーションを推進することで、ラテンアメリカ市場以外への輸出の拡大に繋がるとシュマル社長は断言する。
ただし、同一のグローバル・プラットホームを採用するが、ブラジル版up!は、ブラジルとドイツの専門家によって様々な変更と調整が施された。フレックス燃料技術の導入に加えて、エンジン始動時用のガソリンの補助タンクを撤廃、全長と全幅を若干拡大している。シュマル社長によると、「トランクと燃料タンクも大きく、国内道路の舗装事情に対応するために車高も若干高い」ものになる。
全長3.6メートルのup!は、例えば3.77メートルのUnoと直接的に同じカテゴリーには分類されない。だが、こうしたライバルとされる競合メーカーのコンパクトカーも、話題に事欠かない。フォードは数週間以内に新型Kaをリリースし、日産は第2四半期からMarchの国内生産を開始する。2015年には、フィアットがUno下位車種となるコンパクトカーをリリースする予定だ。
2014年にVWは、up!以外に少なくとも2車種をリリース、さらに複数の車種にフェイスリフトを施す予定である。これらに関してシュマル社長は詳細な情報を開示していないが、ピックアップ・トラックSaveiroのデュアルキャビン仕様のリリースは確実視されている。その後は、恐らく2016年に、up!の派生品として小型SUVのTigun、さらにセダンのSantanaが同社の販売計画に挙げられている。(2014年2月2日付けエスタード紙:クレイデ・シルバ記者)