時事論評 バブルの風体
国際金融市場は昨日、中国政府が、株式の売買所得にかかる印紙税率を0.1%から0.3%と3倍に引き上げた事を受け、再び強風と立ち向かった。
各株式市場は、一通り落ち着きを取り戻してから平静に戻り、特にアメリカのCopomに相当するFomcが、同じ懸念材料であった米国経済に関する問題について楽観的な見通しの発表を行ってから回復が顕著になった。
しかし、中国問題は喉元を過ぎたとは言えない。
大幅な引上げではあるが、まだまだ低い徴税率である。この強風がもたらした結果は中国の税当局による徴税そのものではなく、バブルの崩壊を回避しようとする当局の意図が備わっているかであった。上記の0.3%でも株式市場が正常化しない場合、更なる引上げが見込まれているからだ。
昨日、上海証券取引所のCSI 300指数は-6.8%と大幅安となり、それ以上の急落を防いだ唯一の理由は、300銘柄のうち半分以上が10%の値下がり幅を限度に、ストップ安になった。この調整は今後さらに続く要因が揃っているからである。いつ仮に30%暴落しても誰も驚く者はいないだろう。株価は今年だけでも、100%近い値上がりがあったからだ。
一週間前、フェデラル・リザーブ(米国中銀)の前議長のアラン・グリーンスパンは、シャンハイ取引所の「横溢」(おういつ)を指摘した上で、「劇的に収縮する」と警告した。氏が訴えるクラッシュを中国側当局は増税により回避しようと考えているのである。
シャンハイ付近のアジアの証券取引所では余震が感じられたが、ブラジルを含むそれ以外の世界各国では、震撼というよりも相場観に嫌気がさし、利食いの口実が出来た程度で済んだ。
アナリストの現在の関心ごとは、グリーンスパンがいう劇的な収縮が世界経済に与えるインパクトの範囲である。ブラジル経済の利害関係も正にそれに当たり、現状の世界潤沢が乱れた場合、ブラジルがあやかっている景気要因が消滅する可能性がある。
中国の株式市場は既にマンモス化している。昨日付けの取引高は530億ドル、ニューヨークの倍であり、ブラジルの27倍に相当するものである。ただし、問題も多く、経験不足や中国人投資家側の金融取引の選択肢の不足もあげられる。58年間にわたる共産主義によって、リスク文化が崩壊し、今日の中国人はリスクに対応できない感がある。それだけに投機的な波にのめり込む過剰な傾向が起こっているからだろう。
しかし、IMFの元首席エコノミストであるハーバード大学教授のケネス・ロゴフ氏曰く、世界中の全ての株式市場とは異なり、「中国の株式市場は実体経済とごく希薄な接点しかない」のである。即ち、中国当局による市場操作が困難になり、株式市場で数兆元ものバブル資産がはじけ飛んだとしても、国際経済が受ける損害は小規模なもので済む、ということである。
< 2007年5月31日付けエスタド紙に掲載されたコラム>
著者:Celso Ming(セルソ・ミング)