航空業界
上期の回顧
依然として好調なアメリカの景気に支えられ、伯米間の航空需要は極めて旺盛であった。しかし、絶対的優位にある米国企業の大幅な値引き競争に引きずられ、伯企業は大変苦しい上期となった。
国際線では、景気の上向き傾向にある日本向け出稼ぎ需要が唯一好調であり、名古屋を中心とする当該需要は、対前年を10%ほど上回るところとなった。
伯企業に対しては、昨年のレアル切り下げ措置による、ドル建て債務の支払が大きく重荷となってのしかかり、経営を圧迫する要因となった。そのため提携をはじめ、業界の再編成が現実味を帯び、国内航空会社間で水面下の交渉が始まったようである。
下期の展望
景気の急速な回復は見込まれず、伯企業の経営は引き続き苦しい状況となるものと推測される。そのため外国キャリアも含めた業界の再編問題が具体化し、伯国航空業界はRG,TAMの2社を中心に何らかの方向性を打ち出すものと思われる。
需要としては、引き続き日本線の好況が持続され、この方面はある程度の収入増が期待されるものの、その他の路線については国内線も含め、依然として苦しい状況になるだろう。
旅行業界
上期の回顧
97年度以降継続していた低落傾向に歯止めがかかり、若干回復への手応えを感じた上期であった。その要因には日本の景気回復傾向に伴う出稼ぎ需要が増加に転じたことがあげられる。またこれに伴い、JALおよびRGが日本線を増強したことが需要を押し上げる要因になったものと考えられ、売上高は前年比 22%増となった。
出稼ぎは伸びたものの、日本からのインバウンド需要はブラジル発見500 年等のイベントにもかかわらず低調に終わり、前年並みに留まった。
一方、ブラジル人の外国旅行は、レアルの切り下げに伴い激減し、対前年を大幅に割り込む結果となった。即ち、ここ5年にわたり二ケタの伸びを見せていたものが一気に6割減となり、94年当時の水準をも下回る176 万人となった。
ブラジル人が訪問する国別では、例年第一位にあった米国が対前年を52%下回った他、第2位のアルゼンチンで88%、同3位のドイツで74%と、それぞれ大幅に落ち込んだ。
下期の展望
日本向け出稼ぎ需要の増加傾向は、このまま維持されるものと思われる。またブラジルに進出する日本企業の、日本向けインセンティブ旅行が何本か計画されており、これが日本向け需要を押し上げる要因となるだろう。
ブラジル人の海外旅行需要は、例年下期の主流となる欧州向けが順調に推移すれば、94―95年の水準である260万人まで回復すると思われる。
海運業界
上期の回顧
<定期船部門>
アジア/南米東岸航路、アジア・北米/マナウス航路、大洋州/南米航路のいずれも輸出入ともに荷動きが堅調であり、運賃水準も安定的に推移した。
しかしながら、ブラジルの長期にわたる税関ストにより、一部輸出貨物の通関遅れ、輸入貨物の港頭地区滞留等が発生し、コンテナインベントリーに大きな支障を生じた。
<自動車専用船部門>
自動車輸入は依然として回復せず、南米東岸向け運航は大幅な採算割れとなった。
下期の展望
定期船部門は年度後半に荷動きが低下するものの、引き続き堅調なものとなると考えられる。自動車専用船については上期と同様の状態が継続されるものと思われる。
貨物業界
上期の回顧
<引越し貨物>
査証の発行が極めて厳しく、日本からの赴任者が減ったため、引越し貨物の動きも減少するところとなった。
<航空貨物・海運貨物>
昨年のレアル切り下げ以来同様の傾向であるが、輸入が増加したものの、輸出は厳しく減少傾向となった。
下期の展望
上期の傾向がそのまま継続されるものと思われる。このように需要の少ない中、業績を左右するのは、グローバリゼーションの流れにいかに乗り、ITを駆使した作業形態を作り上げることが出来るかという業務改革のスピードであると考える。業界としては、ITをベースとした作業改革を推し進めつつ、顧客の満足を得るべく事前の書類準備等に工夫を凝らし、下期を明るいものとすべく努力いたしたい。
クーリエ業界
上期の回顧
<輸入>
対前年比3%増
<輸出>
対前年比2%増
<エアカーゴ>
対前年比14%増
数字から判断すると、一応底を脱したように思える上期であった。
下期の展望
アルゼンチンの外貨収支が悪化し、為替に影響が出るような事態になれば、一旦底を脱したかに思える業績に悪影響を及ぼすことが考えられる。その意味から上期実績に安穏としていられない下期となるだろう。
通信業界
上期の回顧
インターネットのフリーアクセス業者の出現により、市場が刺激され利用者も増加したが、国際回線、国内接続料等が未だ高額であるため事業として収益を計上するには至らなかった。一方、企業内ネットワーク、あるいは電子商取り引きを可能にするホームページ作成等の事業が好調に伸び、対前年比15%程売上げを伸ばした企業もあった。
下期の展望
上期に伸ばしたインターネット人口も一定の数まで到達し、下期にはその動きも止まるものと思われる。今後は通信インフラの整備、パソコンの低価格化、回線費用の低下がない限り、インターネット接続のみに依存する企業の存続は難しくなるだろう。
従って下期も企業内ネットワーク、電子商取り引き、サーバーホスティング等を通じてインターネット関連ビジネスを伸ばして行くことが望まれる。また WAPサービス(セルラーからインターネットに接続して各種情報を収集したり、メールのやり取りを行う事が出来るサービス)をブラジル内で初めて導入するところから、この分野での成長が今後期待される。
リテール業界(自動車販売)
上期の回顧
販売台数は業界全体で対前年を15%上回る実績となった。
当初、一定年数を経過した中古車の買い替えを促進すると言う「中古自動車買い替えプログラム」によって販売が増加するとの期待があったが、当該プログラムがアルコール車のみとなったため、業界側ではこれを打ち切ると言う事態が発生した。
PIS(社会保障基金)の支払い方法が6月より変更になり、それまでこれを収めていなかった多くのディーラーが支払いを求められるところとなった。これにより業界は一時混乱したものの、それぞれのディーラーが納税後の同一状態で価格競争に臨めるようになり、公平な対応が可能になると期待される。
下期の展望
景気回復が確実との期待があり、年間140―150万台、即ち計画30%増の販売が見込まれている。
ホテル業界
上期の回顧
当初期待された「ブラジル発見500年」イベントに関わる集客は、北伯で数多く見られたものの、サンパウロではそれ程の成果は挙がらなかった。しかしアニェンビーで行われた各種イベントに関する集客が予想よりも多く、サンパウロの4つ、あるいは5つ星クラスの客室占有率は対前年を28%上回るところとなった。
下期の展望
経済動向に左右されるが、回復基調にあると言われるブラジル経済のもとで、対前年同期比20%の客室占有率を期待したい。下期には「ブラジル発見 500年」イベントがサンパウロ周辺でも開催されるため、これによる集客増を見込んでいる。また地方自治体の選挙もあるところから、人の往来が多くなり、これが客室占有率の向上に寄与するものと考える。
広告・宣伝業界
上期の回顧
TV放映、アウトドアー、販促プロモーションについては昨年並みの成果を得る事が出来たが、新聞、雑誌等の印刷媒体は期待通りの結果を得る事が出来なかった。
下期の展望
本年は選挙の年にあたるため、これに関する宣伝が多くなるものと期待される。以上
「いま、対伯投資を伸張させるために何が必要か」
―運輸・サービス部会―
- 複雑かつ手間のかかる輸出入手続きの簡素化
ブラジルコスト増加の一因となっている
- 規制緩和
不透明な裏金、商慣習を生む温床となっている。
- 治安対策強化
生活の基盤が脅かされれば対伯進出の意欲が減退する
- 為替の安定化、自由化
南米唯一の為替管理国家か?
- ブラジル関連情報(含む観光情報)の発信
対外的に、ブラジル情報が極端に少なく在外公館がこの役目をになっているものの、対伯進出のために必要な精度の高い情報を得るのが困難である。
- ビザ発給制限の緩和
対伯投資の伸長には人(人材)の 往来が不可欠。
以上